Ukiuki Street,#414

小沢健二中心に、好きなものを色々絡めつつ。

リバーズ・エッジ感想

リバーズ・エッジ、観てきました。
ストーリーが進むにつれて一通りの登場人物が出揃った時に、原作のキャラの再現度がこんなに高いのになおかつ役者自身のキャラも死んでないという事実にちょっと変な気分になった。不思議というか違和感というか。だってあれはめちゃくちゃ若草さんでありめちゃくちゃ山田くんなのに、一方でふみちゃんそのもので、亮くんそのものだったから。それって矛盾してるよなぁ、と思いつつも、アルペジオが流れる頃にはそれが凄く正しいことに思えた。

自分の高校時代は90年代じゃなくてゼロ年代だったけど、やっぱりああいう温度があったことを思い出す。さすがにあそこまでのビビッドな事件ってのは起こらないにしても、同性愛やセックスがすぐそばにあって、いじめだとか自分の力じゃどうにもならないことがあって、そういう時保健室に逃げ込んだりするのはおんなじだった。
今の高校生がどんなかはリアルには知らないけど、私達の時代の「高校生」って言う生き物はおおよそ意気がってて、大人ぶってて、つまりすっげーガキで、誰からも影響されないという点ではものすごく強いけれど、誰にも影響を与えないという点ではものすごく弱かった。
だけどガキなりに、大人が見えない世界の中で何かを悟っていた。表面では大抵のことを嘲りながら、内側では恥ずかしげもなく愛とか性とか生きてることを真剣に考えていて、それが日常だった。
思い返せば一番ダサい時代で、でもあのダサい時代がなければ今は存在してないと思うと通らなければならないトンネルだったのだと思う。
あの日淀んでいた河は筆洗いバケツの中の水のように深い緑色をしていたけれど、能天気な歌謡曲や振り切ったファッションや、馬鹿みたいな都市伝説を信じることで私達は色のある世界を生きていた。それを洗えば洗うほど黒くなることに気付きながら、いつか一筋の水がさすことを待っていた。

『汚れた川は 再生の海へと 届く』

そうして25年後の今やっと私達は、水彩の淡くカラフルな日々の中にいる。
トンネルの中で諦めなかった"彼ら"と共に、確かにここにいるんだなぁ。

そんなことを思ったリバーズ・エッジでした。